2007年05月02日

129.新入社員が定着するために

 

会社に新入社員が入社してきても、数ヶ月で「辞めてしまう」ということも珍しくありません。新入社員を定着させるために、現場レベルでやらなければならない事は、仕事の価値を知ってもらうことです。この仕事が何のために、どういう価値があるかを理解してもらい、仕事をやり遂げたという「達成感」を味わうことで、自分はこの会社にとって「かけがえのない存在なのだ」と感じることができるのです。そして次の仕事を頑張ろうという意欲が湧いてきて、定着につながっていきます。

 今の中堅も新入社員であった頃、入社当初は、「最近の若者は・・・」と少なからず言われていた筈です。彼らが生きてきた時代、今置かれている状況、今後考えられる社会の変化などに対して理解しようとする努力が教える側に必要ですが、このような姿勢は基本的に代々受け継がれてきたことです。そして、指導育成をする際に最も重要なのは、相互の信頼関係です。いくら教え上手であっても信頼関係が基礎になければうまくいきません。そのために相手を理解し、新入社員の成長を全力で支援しようとする姿勢が不可欠になってきます。

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2007年01月27日

102 初原稿

こんにちは!!年賀状の写真が不評のドッジ隊員です。

実は昨年はディズニーランドに行ったので、妻がどうしてもそのときの写真をとのことだったのですが、あまり良い写真がなく、全員が写っていた一番ましな写真で作ったのですが・・・・・(ToT)来年の年賀状は頑張るぞ~

ところで話は変わって、今回初めて自分の作った原稿(ただし、先輩隊員にチェックしてもらったので、原文からかなり修正されていますが・・・、ほとんど真っ黒でした)が、とあるグループの会報に掲載されましたので、その原稿を今回は載せたいと思います。

ワークライフバランス

 

ワークライフバランスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。直訳すると『仕事と生活の調和』となります。ここでいう生活の中には、子育てや家庭生活だけではなく、地域活動や趣味・学習などあらゆる活動が含まれています。ライフスタイルや価値観が多様化する中で、仕事と生活の調和を望む人が増えており、各企業においては、それらのニーズに応え支援することで、優秀な人材の確保や現在働いている人材の質の向上に役立てようという認識が高まっています。

企業にとって優秀な人材が多くいることはプラスになることであり、以前のような終身雇用制度が崩壊した現在では、新卒の優秀な社員を採ることももちろん重要ですが、そのことよりも今いる優秀な人材の流出の方が重要な問題です。これからは時代にあったライフスタイルや価値観の変化に合わせて、柔軟性のある職場環境や企業風土作りをすることにより、優秀な人材にとって魅力ある企業となるよう努力する必要があります。

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2006年11月20日

086.経営者意識を持たせるためには

■利益とは何か、なぜ必要なのか      
「利益」の機能には、以下のように大きく4つあります。
①評価の機能-会社の成果の判定の基準であり、外部や内部からその会社の力や事業の妥当性を教えるものである。
②投資の機能-金がないと、投資はできない。金があり攻めることができるからこそ、組織も良い状態でいられる。設備も教育もできないなら、それは悪循環への入り口である。
③保険の機能-事業には、良いときも悪いときもある。悪いときが1年ほど続いたからといってつぶれるような会社は、無責任で駄目な会社である。
④参加費の機能-会社というものは、存在するだけで金がかかる。また、会社は国や地域に対しての役割を果たす必要があり、利益は地域サービスの原資となる。

■経営者意識を持たせるためには      
「社員や管理者には、経営者意識を持ってほしい」と希望する社長は多くいます。
そのために、まず会社は以下のことをする必要があります。
①経営状況(決算書、キャッシュフロー)をオープンにする。
②社員が経営状況を理解できるように教育する。
自社の売上は言えても、粗利が何%必要で、自分たちの人件費がいくらで、損益分岐点となる売上がいくらであるかは解からない社員が多くいます。嘘のような話ですが「売上が5%減ると利益も5%減る」と思っている幹部さえいます。
このような社員に対し、「経営者意識を持て」ということは、無理があります。
社員には経営状況をオープンにし、それを理解できるよう教育をする必要があります。

■社長の給与とは何か          
では、それをしないのはなぜか。
その理由の一つに、「社長の給与と社員の給与では差が大きくあり、後ろめたさや社員に変な勘ぐりが起きる」と考えることがあります。
では、社長の給与とは何か考えて見ましょう。これは、次のような社長の役割を考えてみればよく理解できます。
①最高責任者の役割-何かあれば、責任をとれるのは社長だけ。事業のリスクや社員のリスクを全部背負って、逃げることは選択できない。
②最高のプレイヤーの役割-社長が社内で一番売上や成果を上げている会社は珍しくない。
③投資家の役割-創業時に自分の人生を賭け、一時期は無給で働いたのは社長である。そして、戦略的な別会社を新設する際にも、社長が出資する。また、社長が担保となる。
④保険の役割-赤字が続き資金繰りが苦しくなると、最初に手をつけるのは社長の資産である。したがって、社長は給与の全部を使うことはできない。もしものために、その3割ほどは資産として蓄えておく必要がある。
これらの理由から考えると、社長の給与は社員の3倍以上は必要であり、それでこそ社長の義務が果たせるというものです。
これらの社長の給与の意味、すなわちその機能を見てみると、先の「利益とは何か」と似たようなものになることが良くわかります。
事実、『社長の給与=利益』であり、利益が出なくなると、最初に減額するのは社長の給与となります。

■夢の共有、現実の共有         
社員に経営者意識を持ってほしい。
そのためには、数字に関してはオープンにしようではありませんか。そして、数字という現実を使って社員を教育し、議論を進めることをしましょう。
議論の中で問題を共有することが全社一体の会社作りを進めます。問題の捉え方の違いや危機意識に差があるようなら、同じテーブルで話し合うことはできません。
経営者意識を持たせることとは、その責任も一緒に持たせることであると言えます。
社員教育には夢の共有も必要ですが、現実の共有も必要です。そして、夢と現実のギャップを埋めるために、共に努力することです。

〔ワイズサービス代表 矢田 祐二〕

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2006年11月17日

084.組織の壁、集団から組織へ

■組織には、壁がある                   
組織が生まれ成長するにつれて組織は形態を換える必要があります。その形態を換えることができないと、壁にぶつかり、その規模を超えられない時期を経験することになります。社員が増えては減るという状態を繰り返し、社員数が昇降状態になります。
 その規模のラインを私は『組織の壁』と呼んでいます。組織の壁とは、組織への変革を迫られる、集団の限界を意味します。

■ある企業のケース                   
IT系企業のA社長は、行動力と判断力で創業時から事業を順調に成長させてきました。
創業当初は一人でしたが、売上げの推移とともに、社員も、身内の3人からはじめ、徐々に数を増やし、現在は25名ほどになりました。
20名を超える頃から、A社長は、自社の組織に対し、漠然とですが「これ以上はいかない」と感じていました。そして、25名を超えた頃、その予感は当たりました。
売上げは、今後も伸びるという自信はあるものの、新たに人を雇っても、同じ人数が辞めていくという状態になりました。
ここ数年の社員規模は、横ばいという状態です。現在は、採用と教育という、以前は意識しなかった業務に多くの時間を取られる毎日です。
 A社長は次のように振り返っています。
7名ほどまでは、社員一人ひとりのこともよく理解でき一体感がありました。しかし、10名を超えたぐらいから、それ以降に採用した社員の仕事の状態やプライベートのことを把握することができないようになってきました。
忙しさの中、社員との面談や飲み会もなくなり、社長と社員、社員間にも距離感が出始めました。それでも、事業は成長し、顧客からの注文に対応するためには人を増やす必要がありました。人がいれば、売上げはあがるとも考えていました。しかし・・・。

■社長の組織化の能力                  
 組織の壁となる社員規模には、10名~30名というように開きがあります。
この数字の開きの一因としては、「社長の能力」と「事業のシンプルさ」が上げられます。
「社長の能力」には、とりわけ、弁別性(論理性)が大きく影響します。弁別性により物事をロジックで組み立てる社長のもとでは、壁となる規模は、大きくなる傾向があります。
この弁別性という能力により、方針やルールの文章化を進め、役割と責任を明確にし、組織を統率しようとします。また、社長が組織化の意識を持つことも非常に重要となります。

■事業のシンプルさ                  
事業がシンプルであるほど、組織の壁の規模は大きくなります。シンプルな事業とは、飲食店や製造業が代表例となります。その特徴として、働く人にとって仕事がある程度想像できることです。これにより、組織での仕事がなんとなく標準化(判断基準化)されることになります。逆にシンプルでない事業としては、企画や製作、デザインなどのクリエイティブな事業など、なんとなく標準化が進みにくい事業です。これは、ある個人の能力に頼った事業ともいえます。組織の壁は、前者のシンプルでなんとなく標準化が進む事業では、70名ぐらいまで出会わないこともあります。それに対し、なんとなく標準化が進まない事業では、5名という規模でも組織の壁に見舞われることもあります。 

■集団と組織の違い                  
この組織の壁を超えるためには、当たり前ですが、まずは社長が「組織化をする」と決めること、そして、「組織化を意識する」ことです。
その上で、集団と組織の違いを理解することから始まります。
組織 = 集団+目的+ルール
集団に目的とルールを与えると組織になります。すなわち、目的とルールが備わっていない組織は、組織とはいえません。
目的とは、理念、顧客の定義、事業の定義です。ルールとは、価値観であり、標準化、また言葉の定義でもあります。これらは、事業をシンプルにすることと標準化を進めることに繋がることになります。
組織の壁を超えられる組織と超えられない組織、すなわち組織と集団の違いは明確です。組織化にはある程度の法則性があるといえます。

〔ワイズサービス代表 矢田 祐二〕

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2006年11月16日

076.仕事に関する四つのこと

■はじめに               
新社会人や今の仕事に悩んでいる人に、ぜひ知っていただきたい「仕事」に関する四つのことがあります。その四つを知ることは、自分の仕事や人生をより高いものにしてくれます。

■その一、仕事は自分を磨く手段である  
仕事やそこから得られるお金のために、勉強や自分を成長させているわけではありません。
自分を磨き日々成長させるために仕事をするのです。決して取り違えてはいけません。仕事とは自分を成長させる手段なのです。
逆にこの手段である仕事を目的と取り違えると、仕事は急激につまらないものとなります。
たとえば、社内での『土曜日の研修会』を「勉強できるよい機会だ」と考えるか、「休みが減る、手当は出るのか」と考えるかでは、その時間の充実度や得るものの差は当然大きくなります。
福沢諭吉著『学問のススメ』のなかで、「餌をとり巣を作り子を育てるということは蟻でもできる。人はこの蟻同様の行為のみで満足してはいけません。人々がこの蟻同様の行為のみで満足している限り社会が良くなるはずはありません。」と述べています。
 自分自身と社会をより良くするために、仕事という手段を通じ自分を磨いていることを忘れてはいけません。

■その二、仕事とは本来つまらないものである
仕事というその行為だけをみると、新入社員だけでなく、社長の仕事でさえもつまらないものといえます。
この仕事を楽しいものにするためには、早く自分の人生の目的や目標を持つことです。そして、仕事を早く覚えることです。
 仕事の先に目的があると、仕事は本当に楽しいものとなります。この目的がないと、手段である仕事はつまらないものとなります。
また、仕事というものはある程度自分自身でできるようにならないと、つまらないものです。
人から口を出される状況を脱し、社内の数少ない楽しい仕事の優先権を得るためにも、勉強して早く実力をつけることです。
 仕事という手段はつまらないものとして理解し、楽しめる自分に成長していきましょう。

■その三、プライベートと仕事は分けられない
「個人としての活動」であるプライベートと、「人間社会における活動」である仕事を分けて考えてはいけません。
「個人としての活動」では、読書や旅行などの趣味、子育てや家族の一員という役割、これらを通じ学び考え、時に自分を客観視し、人生を考え再構築を繰り返し日々精進します。
「人間社会における活動」では、社会における自分の役割である仕事を通じ、自分を磨き自分自身の成長と社会をより良くするために日々精進します。
この「個人としての活動」も「人間社会における活動」も、どちらも自分の人生を意味あるものにするために必要です。どちらか一方だけでなく、どちらも努力と勉強、そして充実を必要とする両輪のような関係であるといえます。
 夫婦関係や健康状態が良くなければ、仕事もうまくいきません。逆に仕事がうまくいかないと、家庭の雰囲気も悪くなります。
人間は、それを区別できるほど器用な生き物ではありません。どちらにおいても成功してこそ人格と充実した人生が成り立つものです。
 仕事とプライベートの区別のための努力は得ることが少ないことを理解し、どちらにも成功を求め、どちらにも正面から努力することです。

■その四、組織とは本来曖昧なものである  
人間は曖昧です。その人間の集まりが組織ですから、組織とは本来曖昧なものです。
組織は、何かのルールや約束事で動いているような勘違いをしそうですが、そのようなものは、組織においては殆どありません。組織の動きや現象の多くが人間関係や感情という目に見えない曖昧さで決定づけられています。その曖昧さに目をとられすぎると、極めて効率の悪いことに時間を使うことになります。
まずは、組織とは曖昧なものであり、絶えず問題を抱えているという変化の状態にあることを理解することです。そのなかで、本当に重要なことを考え、自ら行動を起こすことです。
組織は、自分を磨くには最高の場であり、自分や人生をより尊いものにしてくれます。

〔ワイズサービス代表 矢田 祐二〕

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075.『モノの見方・考え方』を考える

■リアリティ欠如の時代         
 学校でも社会でも情報が溢れかえっており、またインターネットを介したバーチャルな世界の拡がりのなか、時間の流れがどんどん早くなり、時代が移ろい易くなり、結果的に物事を感覚的あるいは表面的にしか捉えられない、リアリティの欠如した、地に足のついていない社員が増えているような気がします。
 実は、このリアリティこそが、社員を成長させる源となります。

■思考の放棄              
 よく「他社ではどうですか」とか、「一般的にはどうですか」という質問をする人がいます。こういう質問を発した時点で、その人は自らそのことに関して思考することを放棄してしまっています。
 このように、他の事例に答えを求めて探し、理解し、良いと思ったものを採用する際には、すでにあるものの選択の確かさは要求されます。しかし、選択肢自体とその前提条件に縛られていることを認識しておらず、また考え方の正しいプロセスを辿っていないため、採用してみたもののしっくり収まりがつかない例が多々あります。
 自分に自信がないのか、思考の苦しさから無意識に逃避しているのか、既成概念化したもの、過去に成功を収めたもの、当たり前(と思われているもの)、常識(といわれるもの)、一般・普通(と思い込んでいること)、権威など、すでに確立された(と思い込んでいる)ものに私たちの心は「正しさ」とか「真理」を安易に求めてしまいます。私たちの頭というより、心が思考を放棄してしまう悪癖を持っているため、頭は、借りてきた知識や事例を簡単にコピーして使ってしまいます。
 「考える」とは、新しい考えを生み出すことであり、決して、以前から存在しているものを選択することではありません。しかし、往々にして、選択してコピーしたことを「考えた」ものと錯覚しています。

■思考の呪縛              
 たとえば、改善提案を出しても、そこに具体的な方法が述べられていないと、提案だけに終わってしまい、現実的に改善はできません。経営計画を策定しても、具体性に乏しい場合は、「果たしてどうやって実行するのだろうか」と悩んでしまいます。曖昧という意味を含めた抽象的表現には、発言する者もそれを聞く者も妙に分った気にさせてしまうものがあります。また、色々なものをかき集めて整理する能力や作文能力に長けていれば、その文章は「もっともらしい」雰囲気を醸し出し、読み手は言葉のイメージに流されて、妙に納得してしまいます。
文章の抽象性や美しさにはそのような魔術的な力がありますが、私たちは、それに呪縛されないよう、リアリティに直線的に向かっていくことができる思考プロセスを是非とも身に着けねばなりません。そのためには、まず「具体的には?」とか「なぜ?」とか「それってどういう意味?」という問いを、相手にも自分にも投げ掛ける必要があります。

■思考の礎               
 思考の拠って立つところは、あくまでも事実であり、真実です。私たちは、そこに物事の真因を見つけようとする賢明さと勇気を持たねばなりません。
人が集計したもの、人が処理したもの、人が話したことなどは、人の手が通ったものです。人の手前に動かし難い事実等があっても、人の手が通ることで、その人の恣意性が発揮されてしまい、事実等が捻じ曲げられます。しかし、私たちは往々にして、人の手が通ったものを「既成事実」のように無意識に認めてしまい、多くの失敗を繰り返します。
物事を突き詰めていったり、問題解決をするときは、人の手を通る前の状態まで遡って、動かし難い事実等を思考プロセスの出発点としなければいけません。

■会社発展のために           
 このようなリアリティ欠如の時代でも、物事の現象の奥に潜む事実等を視て、地に足が着いた頭の使い方ができる、リアリティの強い社員を一人でも多く育成することが、会社を逞しく発展させる原動力となります。

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2006年11月15日

073.マニュアルの必要性

■はじめに               
中小企業におけるマニュアルの必要性は、「人材の教育」と「企業力の永続」にあり、今後、その傾向はますます高まります。

■米国におけるマニュアル化の背景    
マニュアル先進国アメリカでは、マニュアルなしでは企業が成り立たちません。その大きな理由は「人材の多様性」と「転職率の高さ」にあります。
「人材の多様性」が理由となる背景には次のようなことがあります。
様々な言語や文化を持った多民族国家、すなわち、多様性の社会では、日本のようなある一定の常識や前例の概念は成立しにくいといえます。
例えば、飲食店の接客という比較的単純な作業でも、従業員個々の仕事に対する考え方ややり方は、多種多様なものとなります。「清潔に」という一言をとっても、異なる文化や価値観をもつ者どうしが共通の認識を持つとは到底考えられません。
そのような状況では、やはり作業の内容や言葉の意味を一つひとつ明確化したマニュアルが必要となります。それにより、初めて一定のサービスや品質、そして『常識』の異なる者どうしの共同作業が可能となります。
次に、「転職率の高さ」の裏には次のような背景があります。 
アメリカではだれもが新しいチャレンジを求め、すぐに転職をするのが普通となっています。そのため、企業は絶えずあるリスクを抱えることになります。それは、優れた技術やノウハウという企業の財産、すなわち企業力が、社員の転職とともに失われてしまうということです。
そのため、企業では人材の転職に伴う企業力の消滅と、次に採用した人材への早期の引継ぎのためにマニュアル化が必要とされました。
これは言い換えれば、ある一部の社員の能力に頼らない企業の防衛システムだともいえます。

■日本でも強まる傾向          
 これら2点の特徴は、近年の日本でも急速に強まっています。
 日本人の持つある一定の道徳観や意識は、良くも悪くも多様化しています。また、転職率は、終身雇用の崩壊とその意識の変化により、さらに高まる傾向にあります。それは、日本の企業においても、マニュアル化を進める必要性の高まりを意味します。

■中小企業ほどマニュアル化は不可欠   
これら「人材の多様性」と「転職率の高さ」 は、とりわけ中小企業に強くみられます。
中小企業では、人材の確保は中途採用を中心としています。中途採用人材は、家庭環境から学歴、そして過去の職種や職場で築いた『常識』をもち、多様性に富んでいます。例えば、「賞与」「代休」という規則や「顧客」「サービス」「営業」の理念に関わる言葉の個々の『常識』は、まず一致することはありません。
また、中小企業では人材が激しく入れ替わります。従業員20人の会社でも、年に一人二人の退職者は稀ではありません。その人材にかかった採用、教育そして時間は大きな損失となります。それどころか、その人材が企業の要である仕事を担っていたということもあり得る話です。
これらの面でのリスクの高さは、大卒採用と終身雇用の維持された大企業の場合と比較すると、相対的に高いといえます。

■導入マニュアルと業務マニュアルを   
このような環境のなか、「人材の教育」と「企業力の永続」のために、中小企業はマニュアル化を進める必要があります。
特に、人材採用時に自社の『常識』を伝える「導入マニュアル」と、本業の生命線である技術や知識をまとめた「業務マニュアル」の作成は早急に手掛ける必要があります。
「見て盗め、体で覚えろ」という、日本の風土や日本人気質に根ざした経営を脱する転換期が、日本、とりわけ中小企業にも訪れて来ています。

〔ワイズサービス代表 矢田 祐二〕

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072.経営理念から人材開発へ

■経営理念とは             
 経営理念とは、「この会社は、社会及び社員との関わりのなかで、何をし、何のために存在しているのか」ということについての基本的な考え方を示したもので、永続性、普遍性そして独自性(存在意志の表出)を持ったものです。
 別の表現をすると、経営理念は、社会及び社員との関わりのなかで、何に貢献するために存在する会社なのか(存在意義)、どのような価値観をもってどのような価値を提供する会社なのか(行動理念)といった、会社のミッション(使命)を表したものです。
 従って、正しい経営理念が根底にあってこそ、経営資源が真に生かされることになり、力強い経営が可能となります。つまり、経営に魂や人格が入り、躍動感が生まれます。経営理念は、会社内部に深く浸透し、全ての活動に深く影響を及ぼす「遺伝子」のようなものです。但し、その「遺伝子」が生きて働く、つまり機能しなければ、真の経営理念と言うことはできません。額縁に入れて飾ってある安物の絵に成り下がります。
 また、経営理念自体の質や格により、会社の成長レベル・成長可能性が決定付けられます。優れた経営理念は、科学に裏付けられた「社会性(公共性、公益性、公器性)」と「人間性」を帯び、成長無限性を感じさせます。

■有名企業の経営理念          
 高邁な経営理念があれば成功するとは限りませんが、成功する会社には、必ず明確な経営理念が存在します。
 京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」とあります。この言葉には、人を大切にとの思いが込められ、人の心をベースに経営を行うという稲盛和夫さんの企業哲学が表れています。
 ホンダの基本理念は「一、人間尊重 二、三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)」とあります。三つの喜びのうち初めの「買う喜び」は、会社に対して判断を下すのは消費者その人であることを意味し、本田宗一郎さんが社会性を強烈に意識していたことが分かります。
 ウォルト・ディズニーのミッションは「・何百万人という人々を幸せにし、健全なアメリカの価値観を讃え、育み、広める ・ディズニーの魔法のイメージを徹底的に管理し、守る ・創造力、夢、想像力を活かして絶えず進歩する」となっています。このミッションが現場レベルまで落とし込まれているのは、ディズニーランドをみると良く分かります。

■経営ビジョンとは           
 経営ビジョンとは、経営理念をベースにし、夢、願望、理想といった、実現可能性が不透明な部分も含め、10年先、20年先の近未来のあるべき姿を想い描いたものです。
 通常、経営ビジョンには、事業ドメイン(事業領域)、会社のポジション(業界での地位、規模、大まかな業績目標等)、達成期間の三つが盛り込まれます。つまり、こういう会社になりたいという願望のアウトラインを、キーワードと大まかな目標数字で社員に提示したものです。
 経営ビジョンを具体的に計画化したものが中長期経営計画で、この計画を立てて初めて、経営ビジョンの実現可能性を社員に明確に示すことができます。
経営理念が時代や環境の変化に関係なく、会社の行動全体に永続的かつ普遍的に浸透していくのに対し、経営ビジョンは、環境や社会、市場の変化により柔軟に変えていくものです。

■最後に人材開発へ           
 経営理念は社員に遺伝子を与え、経営ビジョンは社員に夢を与え、経営計画は社員に力(ヤル気)を与えます。
経営計画の中で、何を、どのように、いつまでにやるのかという具体的な方向付けをし、社員のベクトルを一定方向に合わせ、社員の力を引き出す。これこそが人材開発の考え方と方向性のベースとなります。
 経営理念から人材開発までが一本で貫かれてこそ、会社の心技体が一つとなります。

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2006年11月14日

070.教育制度の意義

■目的は2つ              
教育制度の目的は、主に次の2つです。
① 体系的な能力の習得
② これから必要となる能力を示す
リーダーシップとマネジメントという能力と組織内のポジションとの関係から教育制度の意義を考えていきます。
●リーダーシップ:先導的指導能力=長期的、戦略、リスクに挑戦、改革、ヒートアップ、変化志向
●マネジメント:業務管理能力=短期的、戦術、リスクを回避、改善、クールダウン、秩序維持

■A君の例               
新卒で製造業に入社した真面目がとりえのA君。新入社員の頃はトレーニング(訓練)が主でしたが、2年目には工程管理や在庫確認、受発注管理などのマネジメントに関する仕事を徐々に任せられるようになりました。
4年目に新入社員が入ってきて、初の部下を持つ頃から、新入社員の訓練や仕事を管理するマネジメント以外に、部下の指導や権限の委譲、そしてやる気というリーダーシップに関する仕事が発生してきました。
 そんな彼も、誠実な仕事ぶりが評価され、10年がたったときに課の長に任命されました。このポジションでは、計画や効率を管理するというマネジメント以外に、会社方針をもとに自分の課の方針を創るという仕事や、人を動かすというリーダーシップの能力が求められるようになってきました。
そして、四十台半ばにして、念願の役員に就任。このポジションでは『ビジョンを示し、組織を先導変革し、部下を巻き込み鼓舞する』というリーダーシップに関するものが大半を占めていました。

■求められる能力の変化         
このように、組織ではポジションが上がるとともに、物や仕事の効率性というマネジメントの能力から、人や組織をいかに効果的に動かすかというリーダーシップの能力に、求められる能力が変化していきます。当然、社員にはその変化に合わせた能力の習得が求められます。また、会社としてもこの変化に合わせて教育をしていく必要が出てきます。
そのため、多くの会社では管理者研修やリーダーシップ研修というものを教育の中に取り入れています。このような研修は『ポジションにより求められる能力をつけること』が一つの目的ですが、それ以上に大切な目的は、次のことを社員に明確に伝えることです。
 「これからあなたが上がっていくポジションには、リーダーシップという新たな能力が必要となる。今までのマネジメントという能力だけでは通用しない。」
 しかし、現実には、本人は今までに習得したマネジメントの能力により、仕事や部下を管理しようとします。

■必要となる能力を宣告する       
教育制度の目的の一つ『体系的な能力の習得』は、社員として最低限必要である知識または技術を教育するもので、社員にとっては受動的な面があります。
もう一つの『これから必要となる能力を示す』とは、社員にこれからのポジションに必要となる能力を明確に示し、そのための勉強や準備をしておきなさいと宣告することを意味します。社員はより自発的な行動を求められることになります。

■自分をコントロールし成長する     
社内でのポジションを順調に上げたA君、幸いにもこの会社には、この『これから必要となる能力を示す』ことを踏まえた教育制度がありました。
A君は、入社半年のフォローアップ研修の際には、マネジメントとリーダーシップの明確な定義と、各ポジションに求められる能力を成文化した書類により教育を受けました。
 これにより、A君は、自分に部下がつく日を夢見ながら、そのための能力をつけるために、リーダーシップに関する本を読み、自分の上司の行動を観察し日々仮想を繰り返しながら成長していくことができました。その後もこのような宣告は研修のたびに、また、ポジションが上がるたびに繰り返されました。
結果的に、マネジメントに偏り気味だと自覚するA君も、学習するポイントを外すことなく、効率と計画性、そして確信を持ちながら自分をコントロールし成長することができました。

〔ワイズサービス 代表 矢田祐二〕

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2006年11月13日

066.『効果』と『効率』

リーダーシップを分解すると、大きくは以下の三つの要素に分けられます。
①リーダーの仕事
②リーダーの行動
③リーダーの人格
①リーダーの仕事とは、ビジョン(目的)や価値観を掲げ、部下のやる気を起こし行動させることです。
②リーダーの行動とは、①の仕事を遂行するためのリーダーの行動やテクニックのことであり、具体的には対人関係能力や構造改革やプロジェクト編成能力等をいいます。
③リーダーの人格とは、個性や資質のことをいいます。カリスマ的リーダーと呼ばれる産まれ持った理想的なリーダーなどまずいません。また、人の性格などを変えられるかどうかは疑問があります。リーダーシップとは、学ぶものであり、まずはテクニックなどに注力するのがよいでしょう。また、会社としてもリーダーシップの能力を高めるための教育や研修をしていく必要があります。リーダー人材の出現を待っているという姿勢である限り、会社のリーダー不足は解消されることはまずありません。
世のリーダーシップ論では、以上の三つの要素と次に出てくるマネジメントの要素が明確な区別なく使用されているのが現状です。

リーダーシップの対極の言葉は、マネジメントです。
マネジメントは、業務管理能力を意味します。リーダーシップとマネジメントの役割の違いを例えていうと、「ジャングルで木を切り道路をつくるチーム内で、リーダーは高い木の上に登り、進む方向を指差しチームを先導します。マネジメントは進行表を作り、食料や作業員の健康、道具などを管理します」。
すなわち、リーダーシップの役割とは道づくりを進める方向を決めることであり、マネジメントの役割は、この木を切り開くスピードを扱うこととなります。

このどちらの役割も組織には必要であり、そのバランスが崩れると組織には問題が出てきます。一般に、リーダーシップが不足した組織では、無気力や停滞という状態に陥りやすく、マネジメント不足の組織では、混乱や不安定な状態になりやすい傾向があります。

無気力や停滞感のみられる企業では、現状打破のためにビジョンを掲げ、社員のやる気を鼓舞するリーダーシップを必要とします。
しかし、多くの会社では、能率やコスト管理、手段やシステムに焦点を当てた更なるマネジメント強化策が執られることが多くあります。
ジャングルの道をつくるチームには、モチベーションのダウンと工程の遅れが観られます。そこで、マネジャーは、『効率』を高めるために、業務改善や報告書の提出などの管理を強め、給与体制などの施策の見直しを行います。そして、いつのまにか木の上にいるはずのリーダーは、マネジャーと一緒に管理の方法を考えることに没頭しています。
作業員のぼやきとため息が聞こえてきます。
「この方向で、合ってるのかぁ?」
 
皮肉なことに、マネジメントを強化し『効率』を求めると『効果』は下がることが多くあります。『効率』性の代表格である電子メールというものは、人のやる気という『効果』性の面では面談や電話には到底敵いませんし、マイナス効果ということも多々あります。
時間と作業に関しては『効率』的に、人に関しては『効果』的に考える必要があります。
さぁ、静かに考えてみてください。
あなたの会社で今求められているのは、リーダーシップによる『効果』性ですか、それとも、マネジメントによる『効率』性ですか。

〔ワイズサービス 代表 矢田 祐二〕

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2006年11月08日

054.企業25年寿命説

組織は、いろいろな個性を持った人材がいると活性化します。それに対し、『同質化』と呼ばれる、似たような個性の人材ばかりの状態だと、新しい視点や意見、組織内の摩擦は生まれにくく、活性化はしません。
この『同質化』は、「組織のギクシャク感」「役人化」「無難なことばかりする」といった大企業病や元気のない組織を産み出してしまう大きな原因となります。

日本人の拡散型人材(行動力・創造性を得意とする)と保全型人材(協調性・持久性を得意とする)の構成比は、拡散型:保全型=35%:65% となっています。この値は、ここ数年の遺伝子学の研究からも証明されています。
この拡散型と保全型の構成比という視点で企業を診ると、日本人平均と同じということは当然なく、それぞれの企業特有のものがあり、その組織の風土を作り出しています。
たとえば、ベンチャー企業では、この構成比は、拡散型人材の割合が高い傾向にあります。
ベンチャー企業の創業者の多くが、拡散型の人材であり、その人材の個性や考え方、ビジネスモデルに惹かれ集まる人材には、同質型である拡散型の人材が多くいます。
それに対し、「社歴50年、福利厚生の整った安定した製造業」というような企業では、保全型の人材が多い傾向があります。これは、この価値観に保全型の人材は惹かれ、拡散型の人材は、そこに魅力を感じないためです。
このような企業のイメージや人事施策により人材構成比、すなわち、同質化は起きてきます。

人材の構成比と組織の目的が合致すれば、問題はありません。
「量産型の製造業」を戦略とする企業なら、保全型の人材構成や風土が必要となります。
「飛び込み型営業」を戦略とするのなら大部分を拡散型の人材が占めるのは悪くないでしょう。

問題となるのは、この構成比、すなわち、バランスが行き過ぎてしまうことです。
「量産型の製造業」でも、全員が保全型でいいわけではありません。そこにも、閃きや創造力や行動力は必要でしょう。「飛び込み型営業」企業でも、全員が拡散型人材で注文はどんどん取ってくるが、事務処理や回収業務などができていなければ、それ以上の発展はありえません。
保全型と拡散型の人材は、相互依存にあるといえます。拡散型の人材は、保全型の人材がいて初めて「冒険」ができます。保全型の人材は、拡散型の人材がいて初めて「安定」を追及することができるのです。
このバランスが、組織には何よりも大切です。

よくビジネスでは、「破壊と再生を繰り返す」という言い方をします。これは、ビジネスモデルや商品などの全ての事柄に当てはまると言えます。
破壊と再生という一見相反するポテンシャルを組織内に持つことは、組織内の絶え間ない摩擦と混乱を生み、組織に自浄能力と環境に適応する能力の源泉となってくれます。
破壊のポテンシャルとは、拡散型人材の役割のことです。再生のポテンシャルとは、保全型人材の役割のことです。この構成比を適性に保つことにより、組織は、内にも外にも強くなることができます。

同質化は、組織の老化のようなもので、意識しないとその進行は確実に進み、いろいろな病気の原因となります。そして、病気が進み組織内部の自浄作用が働かなくなったとき、昨今に見られる企業不祥事の温床に組織がなってしまいます。
同質化が作り上げる状況や結果が、企業25年寿命説と言われる所以です。
〔ワイズサービス代表 矢田 祐二〕

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2006年11月07日

050.行動と意識

 工場の通路に紙くずが落ちています。しかし、その紙くずを拾い、ゴミ箱に捨てる人はなかなか現れません。
紙くずに限らず、似たようなことは、様々な場面でよく起こりがちなことです。

紙くずを拾って捨てることにも、行動・意識レベルで様々な段階があります。
まず、その紙くずが視界に入っていない段階です。これは、完全に物理的な理由によるものなので、この場合は物理的に解決するしか方法がありません。
 次に、視界には入っているが、単に「風景」の中の模様程度にしか映っていない段階です。「考え事をしていると、目に入らない」と言われますが、これも同じで、景色自体が模様程度にしか見えていない状態で、意識の目に入らないということです。
 また、目には見えていて、風景の中に白い紙切れらしいものが見えてはいるが、それが紙くずだとは認識できない段階です。物理的には認識できたが、それを拾ってゴミ箱に捨てる必要がある物体だという認識ができないためです。
 次は、目に見えていて、紙くずということも分かってはいるが、ゴミ箱に捨てるべきもの、即ちゴミだという認識には至っておらず、まだ何らかの行動に移行することがない段階です。
これに類似発展したものが、ゴミ箱に捨てるべきものだという認識には到達しているが、行動には移さないというものです。行動に移さない理由は様々でしょうが、自分がゴミ箱に捨てなければいけないという認識がないからか、認識はあるが何らかの理由で行動したくないからといったものが主な理由だろうと思います。

 「工場内に落ちているゴミは、気づいたらすぐに拾い、ゴミ箱に捨てること」というルールを作り、朝礼で発表したとします。
 しかし、発表を聞いただけで、次の瞬間から常にそのルールを意識し続けて、実際に実行し続けることができる人が100人のうち何人いるでしょうか。意識が行動を起こさせるような人は、おそらく、数えるほどしかいないのではないでしょうか。ほとんどの人は、もっと手前の段階で留まってしまいます。発表を聞いただけでは、行動まで辿り着けません。しかし、それが、現実です。

ルールを作って発表しただけでは、行動レベルまで意識が高まりません。ルールというハードだけ整備して、意識というソフトに何も手を加えなければ、つまり機能(適正な行動誘発)しません。
 実際の組織の現場では、目の前の現実を基点に物事を進めていく必要があります。ルールが徹底されていないという現実があれば、そこを基点に考えて、ルールを守らせるよう、常日頃から積極的に働き掛け、意識づける努力を、本気で、しかも根気よく取り組み続けねばいけません。
 働き掛けは、意識の芽が出る土壌を作り、意識の種を蒔き、意識を育てることにつながります。よく使われる「意識を植え付ける」ためには、積極的働き掛けが不可欠です。

 ルールは、組織が構成員に対して望む一つの姿であり、組織の価値観の一つの表れです。従って、組織は、構成員がそのルールへ向かうように積極的に働き掛け、仕掛け仕向ける必要があります。
 別の見方をすると、ルールは、行動・意識を醸成するためのツール(仕掛け)の役割も果たします。従って、ルールなどのツールを有効に活用し、行動・意識レベルを少しでも高めて行くことが、組織の価値観の実現には必要不可欠です。

 組織が自己実現するためには、たかが紙くずと軽く流さずに、積極的に紙くずを利用して、構成員の意識レベルを少しでも高め、組織の望む行動を誘発する必要があります。

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2006年11月06日

047.適材適所について、その2

人から「あなたは、協調性がありますね」と言葉をかけられました。
この言葉、あなたは、褒められたと思いますか。それとも、馬鹿にされたと思いますか。

今回は、人材の教育や動機付け方法についての話です。

前回は、人材のタイプは、拡散型と保全型の2つのタイプがあり、それぞれのタイプに適した職や仕事を考える必要があるというものでした。
拡散型の人材は、行動力があり創造力があるが、協調性や持久性に欠けるところがあります。
保全型の人材は、協調性や持久力はあるが、行動力や創造性に欠けるという特徴があります。
では、このそれぞれのタイプに対する教育方法はどういったものが良いかというと、“そのタイプの行動特性に合わせる”ということが基本となります。

例えば、ビデオデッキを買ってきて、そのビデオのコードをつなぎ、使えるようにするときの行動をみると、拡散型の人材は、いきなりコードをつなぎたがる傾向があります。それに対し、保全型の人材は、まずは説明書を読み、確認してから作業に移る傾向があります。
この特徴そのものが、それぞれのタイプの教育方法だといえます。
拡散型人材は、誉められることや「すごい」といわれるのが大好きです。そして、自分で選択し判断したいタイプなので、押し付けるような言い方や、細かく指示を出される事を苦手とします。ポイントは、大雑把で、自由に。
それに対し、保全型人材は、手順を重視した段取りが好きで、物事を蜜画的に理解する傾向があり、細かく、優しく、丁寧に伝えるほうが、受け入れられます。資格取得や講習会への参加もよいでしょう。ポイントは、丁寧と手順です。
個性に適した仕事をしてもらうことが、やる気を起こし、効率を良くすると述べた前回同様に、今回の趣旨も、教育には、人それぞれに適したやり方があるということです。
この考え方は、仕事や教育、そして、人の組み合わせなどすべてのことにいえることで、我々は「応個」と呼んでいます。

人は、基本的には自分という人間を基準に人をみます。どんなに客観的につとめても、自力では、本当の客観性を得ることは不可能です。
そして、当然のように、人は、教育や説得など人に働き掛けるときには、自分を基準に考えます。
創造や行動を喜びの基準とする拡散型の人は、自分は新しいことが好きですから、相手に対し、新しい仕事や、新しい得意先を担当させれば喜んでやる気をおこし、仕事に励んでくれると考えます。狙い通り、これを受け入れ、喜ぶのは拡散型の人材です。それに対し、保全型の人材には、受け入れ難いどころか、萎縮やモチベーションの低下の原因となることもあります。
少なくとも、心からうれしいと思うことは少ないです。
  
人は、人のことが実際にはあまり分かっていないことが多く、多くの間違いを何気ない日常の中で起こしています。
このミスマッチを防ぎ、経営の効率化を進めるには、お互いに「貴方はこういう人なのね」と受け入れ、理解する必要があります。当然、その前には、自分も自分自身のことを理解することが必要となります。
そして、それは、異端を認める文化やベンテャー的風土を得る第一歩となります。

「協調性ありますね」の言葉は、保全型人材には褒め言葉になっても、拡散型人材にとっては、馬鹿にされた言葉となります。
〔ワイズサービス 代表 矢田 祐二〕

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2006年11月01日

043.適材適所について

適材適所という言葉に見られる通り「適した材料を選び、適した所に使う」ことが経営の効率化を求めるという上で、避けては通れないことです。そして、この問題を抱える企業は依然多いようです。
この問題の解決のお役に立てればと考え、今回は、人材を考えるときの基本的な分類の仕方とその人材の活かし方のお話をします。

人材のタイプ(個性)を分類すると、大きく2つに分けることが出来ます。「たった2つ!」と、複雑に考えたがる人からは物言いが入りそうですが、基本的には2つの分類で企業が抱える人材に関する問題の多くが説明できます。

人材のタイプは、大きく分けると拡散型と保全型の2つに分けることができます。拡散型のタイプは、創造力や行動力があり、積極的に攻めに行こうとする人材です。例えれば、狩猟移動民族型といえます。弱みは、持久力や協調性を求められる守りの行動を苦手とします。

一方の保全型のタイプは、几帳面で持久力があり、協調性のある守りに適した人材です。こちらは、農耕民族的といえます。弱点としては、行動力や創造性を必要とする攻めの行動を苦手とします。

お気づきの通り、この拡散型と保全型のタイプの特徴は全く対極的であり、どちらがいいとか、どちらが不要なのかというものではなく、どちらのタイプも企業には必要といえます。

拡散型と保全型とは、本来相互依存の関係にあり、目的により組み合わせも考えていく必要があります。このお話は、次回以降にと考えています。


適した仕事とは何かを考えて見ましょう。

人材の持つ拡散か保全かという特徴には強弱があるものの、人は必ずやどちらかの特徴を持っています。しかも、この特性は先天的に決まるものであり、教育や本人の努力で変わるものではありません。「経営の効率化を求める」という使命をもつ経営者や管理者としては、この特性を活かすことを考えることは当然のことです。

拡散型の人材であれば、行動力と創造力に強みがあり、営業なら企画提案型や新規顧客を狙う担当がいいでしょう。商品開発なら、全く今までにないコンセプトの新商品を開発するのもいいでしょう。

保全型の人材は、几帳面に維持していくこと、管理することを得意とします。営業なら、ルート営業や既存の顧客に対し、細やかな対応と人間関係を重視した付き合いを行い、掘下げと紹介を狙っていくのがいいでしょう。商品開発なら、今ある商品の改善を行い、より良いものを作る。または、少しでも収益を上げるためにコスト管理や品質管理をするのもいいでしょう。

これを、全く反対のタイプに担当させるとどうなるのでしょう。拡散型の人材は、事務所で悶々として会計処理を行い、保全型の人材が営業で飛込みや企画の提案をする。

結果は知れたことで、拡散型の人材は単純なミスを繰り返し、保全型の人材は日報上だけの仕事を創りあげたり、最悪の場合はうつ病の手前まで追い込まれることもありえる話です。

                    
苦手な分野で、頑張って結果を出すことは、得意の分野で結果を出すことの数倍の努力と忍耐を必要とします。


ましてや、本人はその仕事に対し、心の底から「これ、やれるぞ」とは思えないし、やる気も起きるはずがありません。

日本の企業には、苦手な分野で頑張らせて人を育てようとする傾向がありますが、これはものすごく不自然であり、不効率なことです。

会社や上司がその人間の個性を理解し、適正な仕事を与える。この当然の業務を怠け、社員を「やる気がない」「能力に欠ける」と評価するのは、いかがのものでしょう。少なくとも、本人のやる気や効率を阻害する原因に、会社側や上司がなることだけは、避けねばなりません。

〔ワイズサービス 代表 矢田 祐二〕

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2005年08月22日

012.教育制度の意義

■目的は2つ
教育制度の目的は、主に次の2つです。
① 体系的な能力の習得
② これから必要となる能力を示す
リーダーシップとマネジメントという能力と組織内のポジションとの関係から教育制度の意義を考えていきます。
●リーダーシップ:先導的指導能力=長期的、戦略、リスクに挑戦、改革、ヒートアップ、変化志向
●マネジメント:業務管理能力=短期的、戦術、リスクを回避、改善、クールダウン、秩序維持

■A君の例(製造業に入社)
新卒で製造業に入社した真面目がとりえのA君。新入社員の頃はトレーニング(訓練)が主でしたが、2年目には工程管理や在庫確認、受発注管理などのマネジメントに関する仕事を徐々に任せられるようになりました。

4年目に新入社員が入ってきて、初の部下を持つ頃から、新入社員の訓練や仕事を管理するマネジメント以外に、部下の指導や権限の委譲、そしてやる気というリーダーシップに関する仕事が発生してきました。
 そんな彼も、誠実な仕事ぶりが評価され、10年がたったときに課の長に任命されました。このポジションでは、計画や効率を管理するというマネジメント以外に、会社方針をもとに自分の課の方針を創るという仕事や、人を動かすというリーダーシップの能力が求められるようになってきました。
そして、四十台半ばにして、念願の役員に就任。このポジションでは『ビジョンを示し、組織を先導変革し、部下を巻き込み鼓舞する』というリーダーシップに関するものが大半を占めていました。

■求められる能力の変化
このように、組織ではポジションが上がるとともに、物や仕事の効率性というマネジメントの能力から、人や組織をいかに効果的に動かすかというリーダーシップの能力に、求められる能力が変化していきます。当然、社員にはその変化に合わせた能力の習得が求められます。また、会社としてもこの変化に合わせて教育をしていく必要が出てきます。
そのため、多くの会社では管理者研修やリーダーシップ研修というものを教育の中に取り入れています。このような研修は『ポジションにより求められる能力をつけること』が一つの目的ですが、それ以上に大切な目的は、次のことを社員に明確に伝えることです。
 「これからあなたが上がっていくポジションには、リーダーシップという新たな能力が必要となる。今までのマネジメントという能力だけでは通用しない。」
 しかし、現実には、本人は今までに習得したマネジメントの能力により、仕事や部下を管理しようとします。

■必要となる能力を宣告する
教育制度の目的の一つ『体系的な能力の習得』は、社員として最低限必要である知識または技術を教育するもので、社員にとっては受動的な面があります。
もう一つの『これから必要となる能力を示す』とは、社員にこれからのポジションに必要となる能力を明確に示し、そのための勉強や準備をしておきなさいと宣告することを意味します。社員はより自発的な行動を求められることになります。

■自分をコントロールし成長する
社内でのポジションを順調に上げたA君、幸いにもこの会社には、この『これから必要となる能力を示す』ことを踏まえた教育制度がありました。
A君は、入社半年のフォローアップ研修の際には、マネジメントとリーダーシップの明確な定義と、各ポジションに求められる能力を成文化した書類により教育を受けました。
 これにより、A君は、自分に部下がつく日を夢見ながら、そのための能力をつけるために、リーダーシップに関する本を読み、自分の上司の行動を観察し日々仮想を繰り返しながら成長していくことができました。その後もこのような宣告は研修のたびに、また、ポジションが上がるたびに繰り返されました。
結果的に、マネジメントに偏り気味だと自覚するA君も、学習するポイントを外すことなく、効率と計画性、そして確信を持ちながら自分をコントロールし成長することができました。

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007.取り残された中堅ミドル層

■企業の業績向上と人材育成
 会社は絶えず外部環境に適合して、変化し続ける必要があります。人事制度は、その改定を含み、基本的に社員の外部環境に適合した成長を主眼とし、その結果として企業の成長(売上利益の拡大)につながって、初めて意味を持つようになります。
 人事制度を構築(改定)すれば、社員は自然に成長し、業績は向上するかというと、それは全くの幻想に過ぎません。人事制度というボディーをスムーズに前進させるには、モチベーション・ヤル気というガソリンを常に供給して能力開発というエンジンを常に良い状態で回転させる必要があります。

 能力開発の基本は、会社の方針・方向性に合わせた能力発揮に焦点を合わせて、社員の現有能力を適度にストレッチしたレベルの適所(質又は量)に配置・再配置(いわゆるジョブローテーション)し、OJT・OFF-JT・そのベースとしての上司と部下のコミュニケーションを確実に実施することです。
 
■能力開発が停滞する「2つの層」
 会社の業績低迷は、能力開発が2つの層で停滞しているのと密接に関連しています。
 2つの層とは、40歳前後で管理職相当の年齢になっているミドル層と、30歳前後で一人前の中堅社員になり切れていない層を指します。前者は、管理職層に成長することを期待されている層で、後者は、監督職層に成長することを期待されている層です。
管理監督職層がそれぞれ適切に機能すれば、業績は確実に向上しますが、現実には、ミドル層が管理職になりきれず(専門職としても中途半端)、中堅層が一人前になり切れていない等、この層がうまく機能していない結果、すぐ下の層も当然ながら成長していません。
 結局、25歳から45歳位までの、付加価値を実際に稼ぎ出す中心層が、自らの役割を明確に認識しないまま、中高齢化してしまっています。

■ミドル層の強化は企業の重要課題
 能力開発というと、中小企業の場合は特に、現業の一般職層の能力開発のことに目が行きがちですが、そのためにも実は中堅ミドル層の強化が重要なテーマとなっています。
 ミドル層においては、期待される能力、つまり職能要件を明確にし、それをしっかりと理解させ、能力開発することが必要です。人事評価では、この層が第1次評価者となりますが、この層の職能が不十分なら、評価は適正さを欠き、一般職層の育成も阻害されてしまいます。せっかく時間とコストを掛けて人事制度を構築しても、結局、ミドル層が育成評価をできないばかりに、制度全体が機能しなくなってしまいます。
 中堅層においては、20歳代で数回のジョブローテーションを経験させ、通常業務は独力で、完璧にこなせる状態に成長させること、複数の職場を経験する中で、自らなすべきことを体得させることが会社の責務となります。やはりここでも、期待される能力を明確にし、それをしっかりと理解させ、能力開発することが必要です。
 この層は、20歳代の若手社員の模範になるため、模範的な態度、会社「組織」に対する自覚、自発的に考え動くことを能力として要求され、育成されねばなりません。

■中堅ミドル層が形骸化していないか?
 名目上、中堅層が係長・主任、ミドル層が部長・課長、その上は経営陣といった組織体制が中小企業では非常に多く見受けられます。この体制だと経営陣から一般職層までが非常に近い距離にあるので、中堅ミドル層の頭越しに経営陣が一般職層に指示を出すため、結果的に中堅ミドル層を形骸化させている例が見受けられます。
中堅ミドル層の能力開発は、経営陣が自覚と責任を持って取り組まねばなりません。ジョブローテーション・OJT・off-JTは中堅ミドル層においても実施しなければならず、コミュニケーションは経営陣と中堅ミドル層において、質量ともに充実させねばなりません。 

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005.人材投資促進税制の創設

■人材投資促進税制の創設の目的
平成17年度税制改正により「人材投資促進税制」が創設されました。この制度とは、我が国の産業競争力の基盤である産業人材を育成・強化する観点から、人材投資の減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業における戦略的な人材育成への取組みを強力に後押しするため、人材育成に積極的に取り組む企業について、教育訓練費の一定割合を法人税額から控除するというものです。
本制度は、本年4月1日以降に開始する事業年度から適用され、3年間の時限措置とされています。

■教育訓練費が控除できる
 青色申告法人で、教育訓練費の額が、基準額(前2事業年度の平均額)を超える場合は、その超える額の25%相当額を法人税額から控除できます。ただし、当期の法人税額の10%相当額を控除限度額となります。

人事と労務 2005年 春号 1
■中小企業者(青色申告)の場合
 上記にかかわらず、青色申告法人である中小企業者については、当期の教育訓練費の額に対し、次の控除率で計算した金額を法人税額から控除できます。ただし、当期の法人税額の10%相当額を限度とします。
①教育訓練費増加率(当期の教育訓練費の額から前2年の教育訓練費を控除した金額のその平均額に対する割合)が40%以上の場合は20%相当額
②教育訓練費増加率が40%未満の場合は教育訓練費増加率に0.5を乗じた割合 
 この中小企業の特例は基本制度との選択が可能であり、法人住民税においても課税標準を法人税額控除後の額とします。

■教育訓練費の要件
 教育訓練費とは、以下のようなものをいい、損金経理又は必要経費算入が要件です。
①社外の講師、指導員に支払う講師料等
②研修用の教材やプログラムの購入費用等
③研修を行うために使用する外部施設等の借上料や利用料
④企業経営の観点から企業が従業員の教育訓練上必要なものとして指定した講座等の受講費用、参加費用
⑤研修全体を外部教育機関へ委託する費用
また詳細については、今後政令で定められる予定です。

■最後に
以上が本制度の内容ですが、中小企業では特に、教育訓練という本来の効果ばかりでなく、大きな節税メリットを享受できる可能性がありますので、是非、積極的な活用をお薦めします。


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004.「優秀な人」の視点に立って

■「優秀な人」はどうやって会社を選ぶのか?
「優秀な人」が採用できないと嘆く経営者は多い。それに対し、みる社員全てが「優秀な人」にみえる会社がある。その理由を理解するためには、「優秀な人」がどんなところを観て会社を選ぶのかを考える必要がある。

■二つの「信頼」
「優秀な人」は、会社を選ぶ際に、その会社が『信頼できるかどうか』を重視する。取引先を選ぶように、パートナーとしての価値がある会社なのか、自分の時間と能力を使うだけのものがある会社なのかを観ている。
その信頼は、「目的への信頼」と「能力への信頼」の二つから成り立つ。
「目的への信頼」とは、その会社がやろうとしていることが社会から歓迎され、その仕事を自分も家族も誇りに思え、そして、市場性や将来性に合致しているかどうかである。その目的が明確であることも求められる。
「能力への信頼」とは、その目的を実行するための要素(根拠)のことである。それは、風土や組織システム、社員の有能性や経営者の揺ぎない信念である。
この二つが満たされることが、信頼を置ける会社の条件となる。
「優秀な人」は、決して仕事の条件や内容だけで会社を決めることはなく、より強く「やりがい」や「生きがい」を求める傾向がある。
ただし、給与や休日などの条件が必要ない訳では決してない。「優秀な人」ほど、これらを明確に線引きし、約束を大切にする。会社の条件を提示する(約束を守る)という姿勢に、その会社の「能力」を読み取ろうとするのである。
これが「優秀な人」の会社の見方である。

■「優秀な人」がやめてしまう悪循環
会社側としては、「優秀な人」が求める信頼できる条件を満たす必要がある。これは、正直大変なことであると思う。この信頼できる条件とは、組織の中でのリーダーに対して求められることと全く同じである。また、これは経営者が理想とする会社像なのかもしれない。
社員満足なくして、顧客満足なしといわれるように、今の社員に信頼されていない会社は、「優秀な人」から信頼されることはない。「優秀な人」がやめていく会社に「優秀な人」は入らない。採用のテクニックで「優秀な人」を採用することはできても、すぐやめてしまう。

■優秀な人を採用するための答え
ひとつの結論として、「優秀な人」を採用するには、会社は今の社員との信頼関係を築くことである。
会社をよくするために「優秀な人」を採るという意見も当然ある。一人の人材により会社が著しくよくなるケースや、新しい人を入れることによる組織の活性化作用は間違いなくある。卵が先か、鶏が先か。いずれにしろ、少なくとも会社はよくなっていく必要があるし、よくしていく必要があり、その責任は、経営者に間違いなくある。
「優秀な人」に多くのものを求める経営者がいる。そして、売上の倍増や部下をうまく使うなど、会社や経営者が今できていない無理難題を求めることも多い。
しかし、そんな経営者に限り、ビジョンを掲げ、組織を鼓舞し、推進するという経営者の責任を果たしていることは少ない。
採用は、自社を見直すよいきっかけになる。 採用を機会に、会社が社員に求める「優秀な人」の定義を考えるのと同時に、社員が求める「よい会社」の定義を考えるのもよいだろう。

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