2006年11月10日

061.賃金不払残業にならないために

■厚生労働省からの働きかけ             
 厚生労働省は、賃金不払残業(いわゆるサービス残業)を解決するため、平成13年に発出された「労働時間適正把握基準」に基づき、「賃金不払残業解消キャンペーン月間」を設定し、適正な労働時間の管理を一層徹底するとともに、賃金不払残業の解消を図っています。今回は、残業管理について、日頃ご質問が多い案件についてお話したいと思います。

■どこからが時間外(残業)時間か                   
ご存知の通り、労働基準法は、1日8時間、週40時間の労働時間を定めています。もちろんこの時間を超える労働時間は残業時間になりますが、ここで注意が必要なのは、就業規則の「所定労働時間」と賃金規定の「割増賃金の算出方法」です。例えば、就業規則で「1日の所定労働時間が7時間30分」と定めてあり、賃金規定の割増賃金の算出で「所定時間を超えて労働した場合」とあると前述の8時間ではなく、7時間30分を超えた時点から残業時間が始まり、割増賃金の支払義務が発生します。逆に8時間より長い所定労働時間を定めたとしても、労働条件の最低基準を定めた労働基準法に抵触するのでこの場合は、8時間を超えた時間からが残業時間になります。このようなことが起きないために「所定」と「法定」のしっかりした認識が必要となります。

■管理・監督者の取り扱い                   
 労働基準法第41条では、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外として、「事業にかかわらず監督もしくは管理の地位にあるもの」(管理・監督者)があります。ここでよくお聞きするのが、「あの人は課長だから残業代は払わなくてもよいでしょう」というケースです。労働基準法第41条で定める管理・監督者は「一般的には、部長、工場長等の名称に関わらず、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものの意であり、実態に即して判断すべきものである」とされています。よって、単に肩書きに「長」がつくからといって自動的に管理・監督者に該当するわけではなく、実質的に見て判断しなければなりません。具体的には、職務内容、責任と権限、勤務態様、労務管理、賃金等の待遇面に着目し、一般の社員と何ら内容が変わらなければ、管理・監督者として見なされず、労働基準法第41条の適用を受けることはありません。
 また、たとえ労働基準法第41条の管理・監督者に該当したとしても、深夜労働及び年次有給休暇の規定の適用除外はされていないことに注意する必要があります。

■年俸制、定額制での割増賃金の考え方                    
 最近、最も多いのが,、年俸制を採用し、その中に割増賃金を含んでいる、というケースです。似たものに毎月定額で割増賃金を支払っているケースもありますが、あわせて注意が必要です。
 賃金台帳には、時間外労働、休日労働及び深夜業の時間数を記入するとともに、賃金については種類ごとに記入しなければなりません(労働基準法第108条、労働基準法施行規則第54条第1項第7号)。よって、割増賃金相当額を示さないまま、基本給のみ記入している場合は労働基準法違反となります。賃金の内訳として割増賃金がどの程度含まれているのか明らかにできない場合、法令で定める割増賃金が適正に支払われているかどうか判別することができなくなるからです。また、割増賃金に相当する部分を特定できないと、いわゆる「込み」として支払われている賃金そのものが割増賃金の算定基礎とされることとなります。
 定額制においても割増賃金の不足が生じないかどうかを毎月、全労働者について確認をする必要があり、また、不足が生じれば差額分を支払わなければならない場合があります。
 従って、年俸制、定額制を採用する際も残業時間を管理し、それに見合った割増賃金を設定し、支払わなければなりません。
 他にも「残業時間に本当に仕事をしているのか」「裁量労働時間制を採用する場合の考え方は」等々問題は尽きませんが、一つひとつを事前に検討し、未然にリスクを減らす方策を講じる必要があります。

投稿者 somu99 | コメント (0) | トラックバック | 【給与

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